ケアワーカーと猫の手 by ウメ |
第57回 ゆずちゃん |
近所に住む青山さんは、誰にでも気さくに話しかけて下さる方で、愛猫のゆずちゃんは10才の女の子です。
ゆずちゃんとの出会いは、10年前の夜。
駅の駐輪場の街灯の下におとなしく座っているところを見つけたそうです。
体はやせ細り、目やにがこびりつき耳や首の毛が抜け落ち、ノミがたくさんいる状態でした。
「こんなに小さな体で、よく頑張って生きてきたね。もう大丈夫よ。一緒に家にかえろうね」
小さな子猫を抱きながら、自転車を押して帰ったと言う話を聞きました。
今でも耳のあたりの毛は抜けていますが、これも必死に生きた証なのかなと思いながら私は
「幸せになれて良かったね」
と言って抱きしめました。
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