ネコのあなたと「私」 by 黒目月子 |
第110話 昼寝と昼寝の間 |
窓を開けると、近所に咲きはじめたジンチョウゲの香りが、風に乗って入ってくるようになった。
そんな甘い香りの午後。
昼寝をするのは、なんとも言えないくらい幸せな時間だ。
フト気がつくと。オオネコがあたしの体の真横にぴったりくっついている。
それが、暑苦しいのだ。
動けないし、暑いしで、必ず起きてしまう。
オオネコに気がつくと、オオネコは布団の中から嬉しそうにジッとこちらを見て、伸びを必ず一つする。
あたしは、そっとオオネコに布団をかけて、ちょっとづつ体をずらして昼寝の続きをしようとするのだ。
あたしは布団の中のオオネコの存在をモフモフと、確かめる。
布団の中のオオネコのコトを思う。
この子は大雨の日にうちの車庫にやってきた。
寒くて、外でミャーミャー鳴いていたのだ。
こんな布団の中で昼寝できるとは、あの時は思わなかったろう。
どうか。どうか。
このオオネコの幸せがひだまりの様に暖かいものでありますように。
そんなコトを昼寝の間に思うのだ。
あの雨の日、怖くて鳴いていた分。
幸せになってね。
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