ネコのあなたと「私」 by 黒目月子 |
第103話 クリスマスツリー |
「ヒンメリという飾りを作ってみない?」
ある夜、知り合いから、こう提案された。
ヒンメリってなんだろ?すぐに調べてみたら、なんともナチュラルでかわいいオーナメントのような物だった。
我が家のスッキリしたクリスマスツリーに合う気がして、すぐに知り合いに作りたい!と、返事をした。
返事をしてから、私は一気にクリスマスモードになり、納戸からクリスマスツリーと、木でできたトナカイを引っ張り出し部屋に置いた。
もうそれだけで大満足。
電気もつなげないツリーはちょっと、寂しい気もしたけど、チビネコが配線を噛みそうなので、諦めた。
次の日、私はさらに諦める事になる。
チビネコがひっきりなしにクリスマスツリーとトナカイに齧りついているのだ。
食べてるのか?と、思うほど、歯を立てている。
クリスマスツリーは穴があき、木のトナカイもガジガジになった。
チビネコにそっと言う。
「君にはまだ早かったみたいだねー。クリスマスツリーを出した私が悪かったよ。これはしまうからね。ごめんねー。」
そして、クリスマスツリーをしょんぼりした思いでかつぎ、木のトナカイは小脇にかかえて、また納戸に眠ってもらった。
少しまた広くなった何も無くなったスペースに。
チビネコがゴロンと寝転がり、ノビノビしている。かと、思ったら走ったり、ジャンプしたり、大忙し。
この子はまだまだ小さくて、遊びたいのだ。
その様子を見て、なんとなくつぶやいた。
「まだ、もうちょっと、このままでいてね」
そう思ったら、クリスマスツリーはどうでも良くなった。
さあ、チビネコと外を見る遊びをしよう。
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