ネコのあなたと「私」 by 黒目月子 |
第95話 夜中のキッチン |
図書館でやけに美味しそうなお弁当の本を見つけた。
それから数日間は私の中で「お弁当作りたい衝動」がすごくて、夜中に起き出しては必死にお弁当を作っていた。
いい匂いがしてくると、ネコのあなたがブラーッと確認しにやって来る。
「どう?うまくいってる?」と、私がアタフタしてるのを見て楽しんでいるようだ。
そしてお腹がへってくるのだろう。
急にあなたは私の足元で「ちょーだい、ちょーだい」と二本足で立ち上がり、手をひょいひょい動かす「得意のポーズ」を決める。
私はいったんガスの火を止め、あなたのご飯を確認しに行くと、しっかりご飯がある。
あなたの頭を撫でて「寂しかった?ゴメンね」と言っても、あなたは「ちょーだい、ちょーだい」を止めない。
「これはあげられないよ。私のご飯だから」と言うと、諦めてプイっとまた寝に行ってしまった。
あなたが欲しくなるのも分かる。
この鮭はやけにいい匂いさせているものね。
お弁当に詰めながら「あなたにもお弁当を作りたいなー」と呟いてしまった。
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