ネコのあなたと「私」 by 黒目月子 |
第59話 「12月の匂い」 |
クリスマスの音で街は賑やかになり、私もなんだかワクワクとソワソワのまじったような気持ちになった。
窓を開けて、そんな気持ちの中、大掃除を始めた。
ネコのあなたも「なんだか大変なコトが始まった!」と、落ち着きなくウロウロしている。
ベランダを雑巾がけしていると、いつの間にかあなたもベランダに出ていた。
「どう?外の空気は?冷たいでしょ?」と聞く私に、あなたは
「うーん。悪くないみたい」とベランダの点検が始まった。
付き合ってられないので「ほら、部屋に入っててよ」と言うと、仕方ないなーといいたげな態度で部屋に入って行った。
あなたはちょっと、外の空気が気に入ったようで、部屋の中から網戸越しに前足を窓の枠に手をかけ身を乗り出し、楽しんでいるようだった。
大掃除で久しぶりに綺麗になった網戸から、晴れた暖かい冬の空気が流れてくる。
さあ、あとひと踏ん張り。
そしたら、あなたも私も大好きなコタツでユックリ、お茶にしよう。
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