ネコのあなたと「私」 by 黒目月子 |
第45話 「今年も終わる」 |
1年の終わりともなると、何かと忙しくて。
ネコのあなたをヒザに乗せて年賀状作りをした。
版画を彫り、あなたがハガキの上に乗っかるのを阻止しながら、どんどん刷っていった。
そして、片っ端から一言づつ挨拶を書いていった。
その頃、あなたは年賀状に興味を無くして、ヒザでグッスリ眠っていた。
全部書き終えて、ホッとしたら、眠たくなった。夜中の三時になっていた。
布団にもぐりこもうと、必死な気持ちになる。
あなたを乱暴にヒザからゴロンと下ろすと、あなたは面食らったような顔をして私を見た。
「ごめん。もう寝るよ。眠いよ」と言って、寝室の布団にもぐり込んだ。
寝ていると、あなたが布団をひっかく音がする。
「はい。入りな」と言いながら、布団をめくりあなたを中に入れた。
すぐに出て行ってしまうのは、分かっているけれど、あなたは暖かいし、ゴロゴロ言う声も気持ちがいいので、満足な気持ちになった。
ふと思った。
「今年も終わるね。来年はどんな年にしたい?」
「このままがいいよ」
あなたにそんな風に言われた気がした。
「来年もよろしくお願いします」
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