ネコのあなたと「私」 by 黒目月子 |
第11話 西日の部屋 |
洗濯物を干していたのをすっかり忘れていた。
もう夕方とも言える時間に、慌ててベランダに出て取り込んだ。
西日が部屋の中を照らし、とても暖かく明るい。
タオルを部屋に放りこんだら、ネコのあなたがいた。ついて来たのだろう。
私はあなたに構わずドンドン洗濯物をはたいては、部屋に放りこんでいった。
全部取り込んだところであなたの様子を見ると、ひたすら匂いをかぎ、ウロウロしてる。
座って洗濯物を畳み始めたら、あなたはノンビリ毛づくろいを始めた。
それまで私の手は急いで必死に畳んでいたのである。急ぐ理由なんて無いのに。
私の手が少しずつノンビリ動く頃には、あなたは寝てしまった。
私は西日を眺め、畳んだ洗濯物の山をまわりに積み上げて、気持ち良さそうなあなたのイビキの音を聞いていた。
もう少しだけこうしていよう。
夕ごはんを作るにはまだ早いし、ここは気持ちがいいもの。
西日が夕日になろうとしていた。
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