ネコのあなたと「私」 by 黒目月子 |
第10話 卵焼き |
今朝はネギ入り卵焼きが朝ごはんのメインだった。
細かく刻んだネギをパーっと炒め、すぐに玉子を入れ、塩で味付けし、半熟でもいいから出来上がり。
という、まあ、家庭の料理なのだが。
このネギ入り卵焼き。なかなかくせものである。
ネコのあなたは絶対に食べられない危険な代物なのに、あなたの注目の仕方がハンパない。
テーブルに上がるのはいつものコトだけど、もう、食べそうないきおいで、卵焼きのニオイをかぐ。
ゴメン。あなたには無理。
だからってわけじゃないけど、私が食べておくわ。と、柔らかい卵焼きを箸にとり、空気をいれかえた部屋で大口を開けて、私はドンドン食べる。
あなたは焦り、うらめしそうな顔で私を見る。
だいたい、私があなたに私の食べ物をあげたコト無いのに、なんで、もらえる!!と、勝手に思ってるのか?
図々しいなあと、かわいく思うのだ。
あなたはあきらめてテーブルから降りて、自分のゴハンを食べに行った。
私はちょっとさみしく、しかしホッとして、卵焼きの続きにとりかかった。
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