ネコのあなたと「私」
by 黒目月子
第13話 ネイル

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いつもはローファーにデニムなのだが、特別にエンジ色のエナメルのヒールにデニムを合わせて出かけようと、思った。

なんだか、そう決めたらワクワクが止まらなくなり、髪型も綺麗にしたいし、なによりネイルをしたいと思ったのだ。

と、いうわけで朝からスマホとにらめっこして予約の取れるネイルサロンを探しまくっていた。
初めてのことなので、無我夢中になりながら。

その横で、ネコのあなたが「スマホなんか見てないで、遊んでよ!」と、ぶつかるようにスリスリしていた。
いつもなら、頭を撫でるぐらいのコトはするのだが、ネイルサロンに夢中なので完全にムシするような形になってしまった。

フト、気がついてみれば、あなたの邪魔は無くなっていて「あれ?」と、思った頃には、時すでに遅し。


あなたは離れたところから私を見てる。じーっと。


「ゴメン。ゴメン。」と言い、手をのばすが、もうイジケてしまっていた。

あなたに「ネイルサロンに行くのよ。キレイになってくるの」と話しかけ謝っていたら、やはりジーッと耳をかたむけ、そして分かったような顔つきになった。

さすがあなたも女子ね。

目を細め、私を見上げ「楽しんできてね」と機嫌よく返事をもらえた。

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