ケアワーカーと猫の手 by ウメ |
第62回 孫の力 |
年配の方が大正琴や歌の練習のために集まる、近所の小さな区民館に、白黒のブチで長毛のノラ猫が住みつきました。
ところどころ大きな毛玉があり、いつもその毛玉を引きずりながら歩いています。
大人が触ろうとすると逃げ出しますが、おかっぱ頭で園服を着た、優しい笑顔で猫に話しかけている5歳の女の子だけには心を許しています。
女の子が小さいせいで猫が大きく見え、その体をすり寄せるたびに声を上げて笑っているのが、微笑ましく思えました。
きっと猫もこの子の事が、好きなんでしょうね。
そんなある日のこと
「おじいちゃん〜。この猫、連れて帰ろうよ〜」
「ダメだ!!そんな汚い猫、置いてこい!!」
この言葉にビックリして、私の足が止まりました。
「おじいちゃんなんか、大キライ!!」
胸に突き刺さる強い言葉......。
おじいちゃんもショックだったのでしょう。
「連れて帰っていいから、もう二度と、おじいちゃんキライなんて言うなよ...」
「本当!? おじいちゃん大好き!!」
上半身だけ抱き抱えられて、抵抗することなく、その猫はおとなしく連れ帰られて行きました。
おじいちゃんの心を動かせる孫の力は、すごいと思いました。
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