ネコのあなたと「私」 by 黒目月子 |
第69話 「仁王立ち」 |
私が買い物に行く時、いつもネコのあなたは眠っている。
布団の上で悠々と。
「行ってくるね」と、言ってもチラリともコッチを見ない。
帰ってきてもそう。
チラリとも見ないで寝てるのか、寝たふりか。
微妙に場所が変わっていたり、寝ている向きが変わっていたりするくらいで、やはり、眠ったまんま。
この前、買い物から帰って、慌てて洗濯物を取り込みに行った。
いつもは買い物は午前中なので、めったに無いことだった。
洗濯物を畳んで、たくさん抱えて、部屋に入った。
すると、ネコのあなたが、コタツに仁王立ちになり、こちらを見て一言。
「どこ行ってたのよ!」と、言う顔で叫んだ。
また、出かけてしまったのかと思って、焦ったのだろう。
私を責めるような、少し不安そうな顔をしている。
「どこにも行かないよ」と、笑ってあなたの頭を撫でた。
あなたはニンマリ顔。
「また寝るわ」と布団に行ってしまった。
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