ネコのあなたと「私」 by 黒目月子 |
第57話 「ヒザの上」 |
午後4時。
今日はミシンでワンピースを縫おうと思っていたのに、何もしていない。
ずっと、昼過ぎからネコのあなたをヒザに乗せたまま、コタツでえんえんと座っていたのだ。
たまに降りて、ご飯を食べに行ったりするあなた。
今がチャンス!と、立ち上がろうとするのだが、ずっとあなたを乗せて座っていて、足が痺れ腰は痛くて動けないのだ。
すると、満足気な顔して戻ってくるあなた。
「また、ヒザに乗せろ」と、言いたげな態度でヒザに前足をかけられてしまう。
すると、もう動けないな〜と、私は諦めてしまうのだ。
それで、気がついたら夕方。
午後4時半。
いけない!夕ご飯の支度を始めないと。
思い切って勢いよく立ち上がると、ヒザからゴロンとあなたが転がり落ちた。
一緒に上がる抗議の声。
急いで、夕ご飯作りをしながら、あなたを見ると一人でコタツで丸くなり寝ている。
「なーんだ。私がいなくても良かったんじゃない?」
つまらなそうに、つい呟いてしまうと、あなたが頭を上げてコッチを見た。
そして、こんな目をしている。
「夕ご飯作りはいつ終わるの?早くヒザに乗りたいんだけど」
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