ネコのあなたと「私」 by 黒目月子 |
第51話 「ねえ」 |
「ねえ」
夜中の一時半。
耳元で聞こえてきたのは、ネコのあなたが私を呼ぶ声。
目を覚まして、あなたの頭を撫でる。
それでも、まだ呼ぶ。
「ねえ」
仕方なく、起き出して、あなたのゴハンが無いのかと見に行くと。しっかり入っていた。
あなたが私の足元で嬉しそうに言う。
「ねえ」「ねえ」「ねえ」
呼ぶ相手が居る事が嬉しくて、ただ呼んでみただけの恋人のよう。
私も負けじと声を張り上げた。
「何?」「何?」「何?」
あなたは嬉しそうに、喉をゴロゴロ。
頭を撫でて、体を撫でて、つかまえて抱きしめた。
あなたは嬉しそうに、逃げて仕返しをするかのような顔で言う。
「大好きだから、起こしただけー!」
それじゃあ、仕方ないわ。と、笑ってしまった。
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