ケアワーカーと猫の手 by ウメ |
第16回 はぐれないでね |
利用者様は75歳の男性の方です。
デイサービスの送りをする為に訪問すると、利用者様は縁側の方をジーッと見つめていました。
「どうかしましたか?」
私が声をかけると
「子猫がいるんだよ。どうしょうか?」
見ると庭先で生後1 、2ヶ月ほどの小さな子猫が、利用者様の方を見て座っていました。
「わ! かわいいー」
私は思わず声に出してしまうと同時に、触りたい! 連れて帰りたい! という衝動にかられました。
「あれ見たらほっとけないだろ?」
「その気持ちわかりますよ」
「俺も猫嫌いじゃないからなぁ」
と話をしていると、一匹のオス猫がやって来て子猫の体を舐めていました。
子猫はオス猫の後をチョコチョコついて行きます。
何度も振り返るオス猫。
「しっかりとオヤジの後をついて行くんだぞ」
そう子猫に呟いている利用者様が、かっこよく見えました。
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